今回の旅は『松島』です。オーソドックス過ぎる目的地で、イマイチひかれない…、という方もきっといるでしょう。がしかし!次第にレア度を増してきたこのコーナー、タダでは帰って来るはずがありません。
普段、遊覧船や姉妹館「松庵」などから、松島の島々を眺めるわけですが、その島々に入り込んで周りを眺めたらもっときれいに違いない、と考えました。きっと遊覧船では味わえない魅力があるはずです。
ただし、遊覧船では「島」へ途中下車できません。塩釜市営のローカル汽船「各島停車」に乗ってでかけてみました。
今回の旅は『松島』です。オーソドックス過ぎる目的地で、イマイチひかれない…、という方もきっといるでしょう。がしかし!次第にレア度を増してきたこのコーナー、タダでは帰って来るはずがありません。普段、遊覧船や姉妹館「松庵」などから、松島の島々を眺めるわけですが、その島々に入り込んで周りを眺めたらもっときれいに違いない、と考えました。きっと遊覧船では味わえない魅力があるはずです。ただし、遊覧船では「島」へ途中下車できません。塩釜市営のローカル汽船「各島停車」に乗ってでかけてみました。

一応観光コーナーなので、「塩釜仲卸市場」へ

一般市民でも買える市場

秋保温泉から三陸道経由でたったの40分、塩釜仲卸市場に着きます。ここは何といっても「マグロ」の集積地。世界各地から集まったマグロが取引されています。また、専門業者だけでなく、一般市民でも直接買うことができます。希望の大きさに切り分けてくれて、しかも市価よりも安いとあって、早朝からの各業者に引き続いて、近隣の一般市民で賑わっています。秋保や松島に来た団体のお客さんも大型バスで乗りつけています。
中に入ると、ぎっしりと店が並び、あちこちから声が飛んでいます。やはりマグロが中心ですが、見渡すと他の魚介類も店によっては置いているようです。その店ごとにタコ・ヒラメなど専門分野が決まっているように見えます。
団体のお客さんは、マグロに驚きながらも、お土産にと乾物のエリアに進んでいるようです。
マグロ専門の「鮮魚 但木」さんに寄ってみました。早朝から常連のお寿司やさんなどを中心にさばき、この時間(10:30)は小分けにした一般向けのものが並んでいました。今日のマグロは遠く「ボストン」の巨大いけすで育った、天然に限りなく近いマグロだということです。
時間がありませんので急いで塩釜港へと向かいます。



きらびやかな観光船を横目に

発着場は観光船と一緒

さて「各島停車」の塩釜市営汽船は、遊覧船と同じ「マリンゲート塩釜」から発着します。 後ろに名物遊覧船のくじゃく丸を従えての出航待ちです。
くじゃく丸に乗る観光客に混じって桟橋にでて、乗船直前にそそくさと列をはずれ、エンジン音の鳴り響く汽船に乗り込みます。列を離れ汽船に向かう私を興味深く見る観光客の視線を背中に感じます。船が派手さのない”公務員カラー”なことも彼らの興味を増幅させているのでしょうか。
いろいろと思いを巡らせて乗り込んだ私とは裏腹に、ごくフツーに乗り込んで来るのは、各島に住んでいる人たちです。買い物の袋を下げている人が多く、きっと朝の船で塩釜に着き、折り返し便までに買い物を済ませてきたのでしょう。重要な市民の足なのです。
この浦戸航路は、終点「朴島」まで4つの港に立ち寄ります。となりの「桂島」まで410円と「市営」らしい値段です。往復料金も820円と事務的なところも「市営」らしいです。
出航間際に一応「松島には参りませんのでご注意を」と放送が流れます。まあ間違って乗る人もいないでしょうけど…とでも言いたげの放送でした。



11:00 約20人の島関係者と、1名の島の「無関係者」(鯉)を乗せて力強く出航です。

塩釜魚市場の脇を抜けると、水揚げを終えたマグロ漁船がたくさん休んでいました。改めて見るとマグロ船の船体は意外と短く、そしてアンバランスなほどに魚槽にあたる船のスカートの部分が大きくなっています。マグロを満載にしてここ塩釜に立ち寄ったのでしょう。
後ろをついてきた「くじゃく丸」とは別なルートを進み、いよいよ未体験ゾーンに突入です。急に船がスピードを落としました。両脇は、のりの養殖棚で、その間を縫うようにゆっくり進みます。当然ですが、左右の島の観光案内もなく、淡々と桂島を目指します。

11:23 「桂島」に到着

10人ほどが降り、わらわらと散っていきます。船は次の港へ向けて行ってしまいました。さみしく船の遠ざかる音が響きます。 この船が朴島から折り返して戻ってくるまでの2時間半でこの島を散策してみます。無人の漁港にひとりポツリと残されました。
まずは家の見える方向に歩いてみましょう。この静寂に少し不安を覚えながら…。



さて桂島!「何もない…。」

漁港もあって、人もそこそこ住んでいる。ならばどこかに「外観はともかく、実はおいしいんです。」というお店がきっとある、と信じて歩くこと1分。 特にお店はないことが既に判明してしまいました。
ならばと、次なる目的「松島から見る松島」に気持ちを切り替えます。
港の案内看板によると何箇所かの展望台があるとのこと。そこからの絶景をさらっと押さえてきましょう。『ハイキングコース→』の看板に従って島の坂を上ります。

やがて木の生い茂る、暗い神社の石段を登り、道はさらに奥へと続きます。本当に正しい道か不安になりながらも、暗い道をまた戻るのが怖く、ひたすら歩きます。クモの巣に3回かかり、アゲハ蝶の襲撃にも幾度も遭いました。

30分ほど必死に登り、次第に波の音が聞こえてきました。ようやく展望台にたどりつきました。久々に松林の間から明るい景色が広がりました。のりの養殖棚のコントラストもとてもきれいです。 暗がりから展望台にたどり着いた感激を歌にすると「松島や あぁ松島や 松島や」。芭蕉もきっと道なき道を歩き、暗くて怖い道を越えた末に開けたこの景色を見て詠んだのでしょう。バスや遊覧船からの景色だけでは、本当の芭蕉の気持ちはわかりません。

もう戻りたい一心ですが、ここを戻る気にはなりません。そのうち抜け道があるだろうと、そのまま進みます。相変わらずのクモとチョウの攻撃はつづきます。だいぶ登ったのか、あとは海岸に沿って森を歩いているようです。

足元は相変わらずで、木の根が張り出していたり、泥だったりと、クモの巣と足元の両方に気を張りながら進みます。コースに入る前「展望台をさらっと押さえて…」と思ったのは間違いでした。

次の展望台「西の山展望台」です。ここからは松島海岸エリアの方向がよく見え、松の張り出しや、島の具合もすばらしくきれいです。遊覧船では見ることのできない景色に、クモからの防御も忘れて見とれてしまいました。

少し南よりに道がカーブし、また展望が開けました。手前にも松、眼下の島にも松と、まさに「松島から見る松島」を達成しました。確かに名前をつけるほど格好の良い島ではありませんが、一人で見るのがもったいないくらいです。が、これだけ大変な思いをしてたどりついたこの景色はそう簡単に見られてはたまりません(本音)。

さて、帰りの船が戻ってきます。見るものも見たので、今日は切り上げようと思いながら足早に林を歩いていると、どこからか人の声がします。なんと驚いたことに、こんなところで大宴会をしている人たちがいました。たった一人で黙々と歩き、しかもいままで出会ったのは、畑にいたおばあさんだけとあって、この事態はなかなか理解できませんでした。

もっと驚いたのはあちらのほうで、誰も来るはずのないところに、たった一人で歩いてきた私を見て、一同そろって目を丸くしていました。お互い訳の分からないまま、「まずはどうぞ」と宴会に加わることになりました。

この皆さんは、仙台の若林区からきたグループで、隣の島でバーベキューをする前にここに立ち寄ったとのこと。私も学生時代に若林区にいたこともあり、訳のわからないまま意気投合してしまいました。私が歩いてきた訳を話すと長くなりますし、まずは理解しにくいと思ったので話もそこそこに、帰りの道を教えてもらい足早に港へ向かいました。観光の取材にしては’レア’過ぎますから。





きらびやかな観光船を横目に。

白砂のきれいな砂浜発見!

おじさま方に教わった道は、順調に下り坂になり、このまま行けば海へと下りられそうです。ふと松の切れ間から、白く輝く砂浜が見えました。これが「桂島海水浴場」のようです。9月ですからさすがに人気はありませんが、シーズンならばとてもよい場所です。きれいなトイレもあり、夏場だけ使える臨時のシャワー設備もあります。
そして砂浜から歩くこと数分、あの「ハイキングコース→」のところにたどりつきました。どうやら反対回りだったようです。あの大宴会まで、彼らが暗闇を歩いて行ったとは考えにくく、砂浜から登って行ったに違いありません。
私のコースが正しいならば、あの看板は「サバイバルコース」の間違いだと思います。くどいようですが、この島での2時間は「命がけ」に近かったと思います。
港には法事に行く方たちが、船を待っていました。やがて妙な和音の汽笛をならして市営汽船が戻ってきました。来るときは甲板で海風をあびながら乗ってきましたが、帰りはさすがに船室に入り、法事に行く島の人たちと一緒にウトウトしながら戻ってきました。
きっとまだあの宴会グループは賑やかにやっていることでしょう。そして私の乗った船が出るのを見て、なぜ私がひとりで暗闇から出てきたか首をかしげていることでしょう。
船のエンジン音とともに遠ざかる桂島に小さく手を振りました。




編集後記

今回は松島を違う角度から眺め、なおかつこの島ならではのおいしいものも…と思いましたが、全く思いもよらぬ方向に展開してしまいました。ただ、やはり松島の中から見る松島は、動く船や陸地から「見せられる」景色とは違った表情で、とても趣がありました
特に、芭蕉が松島の絶景に出会った時の思いを実感できたことがとてもうれしく、「サバイバルコース」を歩いた自分だけの財産になりました。実は次回『秋保地区トレッキング』を予定していたため、はからずもその前哨戦となってしまいました。
「芭蕉の気持ちになれる桂島サバイバルツアー」のお問い合わせは『鯉ちゃん』まで。

カテゴリ:ミミヨリ情報. Bookmark the パーマリンク.現在コメント、トラックバックともに受け付けておりません。



Comments are closed.

0